五十嵐淳氏、日本IBM科学賞受賞(コンピューター・サイエンス分野、「オブジェクト指向言語のための型理論」)

まだWebには掲載されていないようだが、審査委員長名(江崎玲於奈氏)のメールが配信されたらしいので正式発表だろう。おめでとうございます。

追記:プレスリリースは発表されていたらしい。

追記2:もう少し早く発表されていれば、あのチュートリアルにも人が入ったのだろうか…

追記3:PDFファイルの奥深くに埋もれているので引用。っていうかK先生のコメントで初めて存在に気づいた。

贈賞の理由:オブジェクト指向言語のための型理論
五十嵐氏は、オブジェクト指向プログラミング言語の基礎理論を展開するための枠組みを確立するとともに、現在最も広く用いられているプログラミング言語の一つである Java 言語の設計および実装の根幹に大きな影響を与える重要な理論的成果を挙げた。オブジェクト指向プログラミング言語は、データ抽象などの大規模ソフトウェア開発に適した機構を備えており、その重要性は今や広く認識されている。その理論的基礎についても、型理論をはじめとして、以前から多くの研究がなされてきた。しかしながら、理論研究における計算モデルと Java などの現実のプログラミング言語の設計との間には大きな乖離があり、現実の言語の設計や処理系の実装の改良に直接結び付くような理論研究は未成熟の状態にあった。五十嵐氏は、現実の言語 Java を出発点としてその機能の本質を残し、極力単純化した計算モデル Featherweight Java を構築するという斬新かつ独創的なアプローチをとることにより、オブジェクト指向言語の基礎理論を展開することに成功した。この計算モデル Featherweight Java は、現在、オブジェクト指向言語の理論研究の基礎として国内外の研究者に広く受け入れられている。