科研費

以前にも参照させていただきましたが、「私と科研費」第1回(小林 誠・日本学術振興会・理事)より:

明確な研究課題の設定に至る前の試行的な研究や、経常的なデータの蓄積を必要とする研究、あるいは上述のような理論研究など、比較的少額でもよいが安定的な研究費が手当てされることが望ましいケースが多くある。こうした基礎的な研究に対する経費は、国立大学の場合、以前は講座研究費という形で一定の研究費が手当てされていたが、法人化後、運営費交付金が毎年1%削減されており、基礎的な研究費の部分が縮小し続けているのではないかと推察される。その肩代わりを現在の競争的資金制度に求めるのは筋違いではなかろうか。

端的に言うと、研究資金(私の場合は主に学会発表のための旅費など)に関する手続きの負荷が大きいため、研究をする時間がありません(確率が低いので、「切れ目」のないように研究を続けるためには、ほぼ常に何らかの手続きをし続けていなければなりません)。かといって、資金がまったく得られなければ研究活動を行うことができないだけでなく、各種評価にも直接影響します。金額はもう少し小さくても良いので、期間をもっと長く(できれば有限の金額で期間は無限に)していただけると有難いのですが、やはり憲法第86条問題なのでしょうか。

P.S. 科研費使途の制限は、文科省・学振レベルでは大幅に緩和されています。(説明会資料内「科学研究費補助金制度について」27〜28ページ等参照)

  • 「研究者使用ルール」に特に記載がないことを事務担当者に尋ねると、前例がないので購入を止めて下さいと言われる。
  • 「研究者使用ルール」に特に記載がないことを「学内ルール」として決めていて、それが大変厳しい。
  • 一部の研究機関の方におかれては、補助条件等を厳格に捉え過ぎて、結果、研究者が使いにくいと感じる例が見受けられる。
  • これらの点について無責任で良いと申し上げるのではなく、補助事業(研究課題)の研究のために必要な経費が使えないというのでは本末転倒。
  • 現在、研究のために必要であって支払えない経費はほとんどない。「これ以上何を改めることができるか」と言えるレベルまで柔軟にしてきている。
  • 科研費制度としては、ここまで柔軟に使用できるようにしているので、これを如何に上手に使うかは、各研究機関の腕の見せどころである。